次世代太陽電池とは ~日本の科学力が作りだす新しい太陽電池~

現在、太陽電池の原料はシリコンが主流となっています。 環境問題のほか、コスト面からも注目され、今や世界中に普及している太陽光電池。日本のメーカーや大学でも日々研究開発が続けられています。 次世代の太陽電池とは、どのようなものなのでしょうか。

いま注目を集めている2つの次世代太陽電池

「シリコン不要が武器」4種の金属化合物を使ったホンダの新しい太陽電池

2010年3月から、甲子園球場に設置され、現在も稼働している巨大な太陽電池パネル。ホンダの製品であることはご存知でしょうか。 ホンダは太陽電池開発にも力を入れており、次々と新商品を発表しています。 そんなホンダの太陽電池でも、現在最も注目を集めているのが【CIGS薄膜式】と呼ばれる金属化合物を使ったもの。 これは、「銅」「インジウム」「ガリウム」「セレン」という4つの金属化合物が使用された太陽電池で、最大の売りは高温でも発電量が落ちないというものです。

そこで【①シリコン式】と【②CIGS薄膜式】の比較をしてみましょう

項目 ①シリコン式 ②CIGS薄膜式
高温状態 発電量が落ちる ①より発電量が2%上回る
一部に影がかかる場合 発電量が落ちる ほぼ影響を受けない
製造コスト
製造の際のエコ

【①シリコン式】と比較すると、【②CIGS薄膜式】は高温になった際の発電量が2%上回るとされています。 熱や影の影響を受けないことから、実際に使用した場合の年間発電量は、シリコン式を上回るという結果も出ています。 また、【CIGS薄膜式】タイプの太陽電池は、シリコンタイプに比べて製造コストが抑えられ、製造の際の二酸化炭素排出量も約半分に抑えられるというメリットがあります。 ホンダの【CIGS薄膜式】太陽電池は、ホンダの販売店を始め、特約店契約のある住宅メーカーで一般販売されています。

「光吸収100倍の太陽電池」赤外線も発電利用?岡山大が開発

シリコンタイプの太陽電池に比べ、光の吸収率が100倍にものぼる太陽電池を開発しているのが、岡山大大学院自然科学研究科です。 この太陽電池には、GF(グリーンフェライト)と名付けられた酸化鉄化合物が使われています。GFは粉末状の酸化化合物で、土台の金属に薄く塗って使用します。

シリコンタイプの太陽電池の場合、1キロワット発電する電池を作るためには、100万円程度のコストが掛かるのですが、このGFを使用した太陽電池では、同じ1キロワットを1千円程度のコストに抑えることが目標とされています。これが実現すると、大幅なコストダウンが可能になります。 シリコンタイプの太陽電池のようにパネル上である必要がないため、曲げたり伸ばしたりといった加工が可能で、電柱などの湾曲したものに巻き付けて設置することも可能になります。

さらに、この太陽電池には、いままで発電に利用することができなかった赤外線も発電に利用できる可能性があると言われています。 これは、太陽光以外のたとえば生活で発生する排熱などを発電に利用することができるかもしれないということ。 2013年の実用化を目指し現在も開発が続けられており、実現すれば画期的な発電システムが誕生することになります。

エネルギーの未来とは

エネルギー不足や温暖化問題により、近年ますます注目を集めている太陽電池。 太陽電池産業にも低コストを売りとする中国製品が参入し、日本のメーカーの世界シェアは年々低くなっています。 しかし、そういった厳しい状況の中、日本の技術者は新しい太陽電池の開発に取り組み、有望な新製品を続々と発表しています。 現在主流となっているシリコンタイプの太陽電池は、十分な設置スペースが必要なことや、わずかな影にも影響を受け、発電量が落ちてしまうといった弱点があります。 これらの弱点を克服したのが、金属化合物系の太陽電池。 ホンダが2011年に販売を開始したCIGS薄膜式の他、昭和シェル石油でも、金属化合物を使用した太陽電池の大規模工場を2011年7月より稼働させています。 需要が高まるにつれ、様々な新技術が開発されている太陽電池。太陽光発電などのグリーンエネルギーが世界の電力の主流となるのも、そう遠い未来ではないのかもしれません。